チェンジ・サイエンティスト(河村 庸子)


組織の大きな変化との出会い


 2012年まで勤めたリクルート社で私は、HR、人材斡旋、人材派遣、ブライダル、住宅、自動車、旅行、経理、IT等、24事業の幅広い業務に携わりました。

 リクルート社での前半のキャリアは、転職サイト「リクナビNEXT」の構築や、インターネット旅行会社の立上、基幹システム構築や連結決算の仕組構築など、何百人もの人が関わる大型プロジェクトで、要件決めから設計、サービス開始までコントロールする中心にいました。

 そして、後半のキャリアでは、事業企画、経営企画などで、事業戦略、業績管理、M&Aなど事業の基盤となるスキームを作り、実際にマネジメントを実践していました。

 ニューヨークのIBM社でグローバル経営について学び、フィリピンでの技術者派遣や中国の人材会社との協働マーケティング調査など、文化や言葉の違う海外業務を経験しました。


変化のための「サイエンス」と「センス」のアプローチ


 新しいビジネスの場で、様々な職種の人と初顔合わせ、短期間で大きなサービスを作りだし、組織を変化させることを繰り返していると、2つの側面から変化と創造にアプローチしていることに気づきます。

 MBAで教わるような

 「サイエンス」(科学的で論理的な知識)

をベースに変化や創造のスキームを設計しますが、
そのあとは、その場からやってくる

 「センス」(感覚的で直感的な気づき)

を手掛かりに、判断し前進します。


人の「変化」に関する研究とトレーニング


 リーマンショック直後のリクルート社で私が取組んだのは、400人の「営業組織のマネジメント改革」でした。市場が縮小し、競合に押されていた当時のその組織は、営業マンのスキルはバラバラ、マネージメントのやり方もバラバラでした。

 営業力とマネジメント力を上げることによって「顧客満足度」と「営業生産性」を同時に向上させるために、売上中心の「結果マネジメント」から営業行動のPDCA、「行動マネジメント」を導入しました。PDCAのやり方や、チーム会や個人面談でのコミュニケーション方法の教育とOJTによる変化と成果は大きなもので、人は輝き、ついに競合シェアを挽回しました。

 しかし「営業組織のマネジメント改革」で気づいたことがあります。私が直接導入している間は成長に向かって劇的に変化した組織が、直接通わなくなってしまうと、変化の勢いがにぶることでした。

 人や組織はどのようにしたらもっと自由に変化し、変化は継続するのだろうか?

この疑問を解明するために、組織リーダーに教えていたコーチングやファシリテーション技術、人の主体的体験に関するNLP(神経言語プログラミング)の研究とトレーニンを積みました。


変化のための「スキル」と「メタスキル」


H150_2 リクルート社で実施した「営業組織のマネジメント改革」でなぜ人が成長し組織が変化したのか?

これを振り返って、本を出版しました。

 人と組織の変化に関する研究とトレーニング、そして自分の経験を本にまとめることを通じてわかったことは、人と組織が変化するためには、効果的な枠組があるということ。そして、個の枠組には

 「スキル」(やり方)と「メタスキル」(あり方)

の両方が必要だということです。

 人の変化に関するトレーニングを積んで資格を取得した今は、トレーニングコーチングを提供しています。